割れたラムネの話

こんにちは。元マスク女子です。

 

会社員時代、毎日のように会社でマスクをしていたことが由来です。

会社は昨年末にやめました。

 

今朝、朝市に行ってきました。

お天気もよかったし、人もそこまで混んでいなくて、過ごしやすい雰囲気でした。

 

久しぶりに、二人で話した。

 

彼が飲んでいるラムネをみて、「あ、ほしいな。」と思ったので、

私も買いに行きたい。と思ったけれど、お店が分からない。

 

「どこで買えるの?」

 

と問うてみたら、一緒に案内してくれた。

こういう優しさが好きになったところかもしれない。

 

最近は、少し距離感をつかみにくかったから、少しほっとした。

 

「ラムネ、あるかな」

 

彼がそんなことをこぼした。

 

「今日は人気なのかな」

 

私もそんなことをこぼした。

 

ラムネのお店はすぐに分かった。でも、あるのか分からない。

 

目の前で小さな男の子が、お父さんからラムネを受け取ろうとした。

 

瞬間、手がすべってラムネの瓶がアスファルトに叩きつけられた。

 

なかのソーダが飛散して、ガラスの砕ける音がして、

しゅわっと音を立てて消えた。

 

ひゅっと息を吸ってから、思わず彼の方を見たら向こうも振り返ってきた。

 

「すごかったな、今の」

「うん、キレイだった」

 

「めちゃくちゃいいもの見たな」

 

男の子が泣きそうな顔をしている。

でも、美しかった。あの刹那のラムネは、本当に美しかった。

 

「写真、撮りたかったな」

 

普段、撮らない彼がそう言った。

たしかにあの一瞬、あの一瞬を閉じ込めたかった。

 

飛散したガラス片をこっそり拾って、ビニールに入れる指先を見てた。

 

「ビー玉、どこ行ったんだろ」

 

彼がそう言ったとき、隣にいた別の男の子が言った

 

「ビー玉どこや!」

 

思わず笑ったら、ちょっとバツが悪そうな顔をしていた。

 

ラムネは、悲しそうな顔をしていた男の子に譲られて私の分はなくなった。

 

「冷えたら買いに行こう」

 

そう言って、少しだけ二人で朝市を楽しんだ。

 

冷えるか分からないラムネを待つ予定はなかったけれど、

みんなと話していたときに、彼が声をかけてきた。

 

「そろそろ冷えたんじゃないか?」

 

そうかも、と思ったとき、一緒に来てくれた。

嬉しかった。ただ、嬉しかった。

 

彼が開けてくれたラムネはまだぬるかった。

 

でも、美味しかった。

仲間と、私の買ったラムネをいかにキレイに撮るかで盛り上がった。

手で持ち上げて、青空を背景に撮ったラムネは本当に美しかった。

 

あの写真、あとでもらおうっと

 

フラれたけれど、出会ってまだひと月くらい。

もう少し、時間をかけて彼との人間関係を構築してもいいと思う。

 

周りのみんなも大好きだし、彼不在のBBQもとても楽しかった。

彼だけじゃなくて、みんなとの人間関係をゆっくり築きながら、もう少しこの生活を楽しんでいきたい。